食事・栄養シリーズ5回目、添加物シリーズはいったん今回で最後にします。今回は、「できれば避けたい添加物」ということで、一括名表示でよくわからないものの中身はどんなものがあるのか、書いてあったらできるだけ避けたい添加物について書いてみようと思います。
「一括名表示」の内訳はどうなっている?
一括名表示できる14種類の添加物は、第3回目*食事・栄養*~食品表示の見方を知ろう~の記事に書きました。その14種類の中でも特に気になる10種類について、内訳はどうなっているのか、どんなものが使われている可能性があるのか見てみましょう。
*イーストフード
イーストフードはパンに使われる添加物で、文字通りイーストのエサになるものです。職人技を使わないでも、工場でふっくらとしたパンを大量生産できるようにするために使われます。イーストフードに使われる添加物の物質名は、「塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、グルコン酸カリウム」などがあり、塩化アンモニウムのように膨脹剤としても使われるものがあります。イースト本来の力ではなく膨脹剤の力で膨らませているパンもあるということですね。塩化アンモニウムは毒性が強く、ウサギに2g与えると10分後に死んでしまうのだそうです。現代の食生活において、パンが問題視される理由の一つがこのイーストフードと言えるかもしれません。
*ガムベース
チューインガムの基材となるのがガムベース。「エステルガム、グリセリン脂肪酸エステル、酢酸ビニル樹脂」などが使われているようです。酢酸ビニル樹脂は接着剤としても使われている物質で、そのもととなる酢酸ビニルは動物実験で発がん性が確認されています。毒性の高い成分が使われていない可能性もありますが、使われている可能性もあります。それがわからないのが一括表示というわけです。
*かんすい
かんすいはラーメンに独特の風味や色合いを出すために使われています。「炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、リン酸類のカリウム塩またはナトリウム塩」を1種類以上含んでいて、リン酸をたくさんとるとカルシウムの吸収が悪くなり、骨がもろくなることがあります。炭酸ナトリウムは大量に摂ると胃や腸の粘膜を傷つけるそうで、カップめんなどを食べて胸やけがすることがある人は、もしかするとかんすいの影響かもしれませんね。
*光沢剤
グミやチョコレートなどの光沢を出すために使われています。「オウリキュウリロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ」などが使われていて、いずれも「ロウ」です。「シェラック」という物質はラックカイガラムシという虫の分泌物からできているそうです。「ウルシロウ」という漆の実から抽出したものが使われる場合もあるそうで、漆アレルギーの人は注意が必要なのだとか。「ミツロウ」なども使われるようですが、自然派リップクリームなどに使われていたりもするものなので、危険性は低そうですが、やはりこちらも一括表示なので何が使われているかはわかりません。基本的に見た目をよくするために必要な物なので、不自然さを演出するための物質とも言え、できれば入っていないものを選ぶのが望ましいのではないかと思います。
*香料又は合成香料
香料はありとあらゆる食品に何にでも入っていて、合成香料が約150品目、天然香料が約600品目もあります。危険なものも危険でないものもあるようですが、とにかく一括表示なので何が使われているかわかりません。果物系のお菓子とかにはたいてい使われていていると思いますが、独特の人工的な匂いがするので、「ウッ」となってしまいます。香りにはかなり敏感なので、あまりに人工的な香りのものには自然と拒否反応が出ます。食品もそうですが、洗剤や化粧品など、生活用品の香料も非常に苦手ですし、危険視しています。
*調味料(化学調味料)
でました、悪名高き化学調味料。いわゆる味の素ですね。商品の裏を見るとたいてい書いてあります。本当に何にでも入っていて、避けるのが一番難しい添加物でもあると思います。主に使われているのはグルタミン酸ナトリウム。うま味の成分であるグルタミン酸を精製してナトリウム塩にしたものですね。グルタミン酸ナトリウムには依存性、興奮毒性があり、3g以上摂取した人の中には頭痛、動悸、しびれ、呼吸困難に陥った人もいるとか。WHOでも一日摂取許容量を「120 mg/kg/日」と規定していて、体重50キロで1日6gです。精製した物質なので味覚障害を引き起こすとも言われています。
個人的な見解も入りますが、母乳にはグルタミン酸が含まれていて、それはつまり、赤ちゃんのときからそれを感じる受容体があるということを意味します。グルタミン酸=アミノ酸=たんぱく質であり、身体を成長させるのに必要だからこそ「うま味」として感じて、赤ちゃんはおいしいと思って飲むわけです。生まれたての赤ちゃんが飲む母乳を出すお母さんが化学調味料ばかり摂っていたら、その成分を赤ちゃんにそのまま飲ませるということになる。WHOですら乳児にグルタミン酸ナトリウムを与えてはいけないと規定しているくらいですので、妊娠中や授乳中の食生活は本当に気をつけた方が良いと思います。特に「なにからグルタミン酸を摂取するか」ということについては、かなり慎重になった方が良いと思います。
*豆腐用凝固剤又は凝固剤
いわゆる豆腐のたんぱく質を固めるにがりのことで、「塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グルコノデルタラクトン」などが使われています。にがりは特に問題のある物質ではないのですが、豆腐にはワナがあり、「消泡剤」という添加物が使われることがあるそうです。「グリセリン脂肪酸エステル」といって、豆腐を作る際に出る泡(サポニン)を消すための化学物質です。その添加物を使えば、同じ量の大豆から2倍の量の豆腐を作ることができるそうです。そこまで危険性があるわけではないようですが、できれば本物の豆腐を買いたいものですよね。
*乳化剤
水と油をなじませるために使われるもので、パン、アイスクリーム、ケーキ、チョコレートなどのお菓子類、ドレッシング、マーガリン、チーズなどに多く使われている物質です。「グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル」、その他植物由来のレシチンなどが使われています。「グリセリン脂肪酸エステル」は上記の消泡剤にも出てきましたね。危険性は高くないものから、中には完全なる合成のものもあるようで、一括表示で何を使われているかわからない弊害がここにも見られます。
*水素イオン濃度調整剤又はpH調整剤
pH調整剤とは、食品のpH、すなわち酸性度を調整する添加物で、食品の味を一定に保つために使われます。酸味料として、そして保存性を高めるために使われます。「保存料不使用」と書いてある商品にもpH調整剤はだいたい入っているので注意して見てみて下さい。コンビニのおにぎり、お弁当、総菜などにはだいたい入っています。規制がない、消費者が「保存料が入ってないなら安心かも」と思うのをいいことに大量に使われている添加物です。「クエン酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、リン酸」などのナトリウム塩、カリウム塩など、たくさんの種類がありますが、一括名表示なので何が入っているかはわかりません。かんすいで既出ですがリン酸を摂りすぎるとカルシウムの吸収が悪くなり、骨がもろくなったり、キレやすくなったりすることがあります。
*膨脹剤、膨張剤、ベーキングパウダー、ふくらし粉
カステラやホットケーキ、菓子パン、クッキー、ビスケットなどをふっくらさせるために使われています。ベーキングパウダーとも言います。一番よく使われているのが「炭酸水素ナトリウム(重曹)」で、「塩化アンモニウム」などの危険なものや、「クエン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸」など、こちらもリン酸がとても多いです。塩化アンモニウムはイーストフードで、リン酸はかんすい、pH調整剤で既出ですが、やはりいずれもたくさんは摂りたくないです。一括表示で何が入っているかはわかりません。
以上で添加物シリーズは終わりたいと思います。とにかく一括表示ばかり。何を持って安全と判断され、認可されているかもあいまいだし、その判断が非常にあいまいなものも。あとから「やっぱりあれは危険だったので禁止します」ということも十分あり得ます。添加物は摂らないに越したことはありません。何度も言いますが、一人一人の意識が最も重要です。多くの方が、意識的に商品を選ぶようになると良いなと思います。次回からは農薬、トランス脂肪酸などその他の食の気になることなどを書いていこうと思います。
・参考文献
『「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物』渡辺 雄二 (著) 2014/6/22
『ハーバード大学で研究した医師の警告 健康でいたければ 「それ」は食べるな』 大西睦子 (著) 2015/6/19
『まだまだあった! 知らずに食べている体を壊す食品』手島奈緒 (著) 2014/2/27