ハーブの楽しみ方シリーズ、今回は浸出油をご紹介します。ハーブと言えばハーブティーが一番親しみやすい取り入れ方かと思いますが、実は浸出油もとっても簡単に作れるんです。浸出油とは、植物の脂溶性成分を植物油に浸出させたもののことで、ハーブと植物油さえあれば作れてしまいます。今回はそんな浸出油におすすめのハーブをご紹介します。
基本的な作り方
浸出油には常温で作る「冷浸油」と湯せんしながら作る「温浸油」があります。精油成分を取り出したい場合は温浸油が適していると言われています。用いる植物油は外用であれば、マカデミアナッツオイルかホホバオイルなど、食用であればオリーブオイルなどが良いでしょう。外用のものには酸化防止のためビタミンEが含まれる小麦胚芽油を10%程度加えても良いとされています。一番簡単な冷浸油の作り方です。用意するものは、ガラス瓶、ハーブ、植物油、遮光瓶です。ハーブをガラス瓶半分くらいまで入れて、ハーブが完全に浸るまで植物油を入れます。日当たりの良い場所に2週間程度置き、1日1回は軽く振るようにします。2週間経ったらキッチンペーパーやコーヒーフィルタなどで濾して、遮光瓶に入れれば完成です!冷暗所保存で約3か月以内に使い切るように、とされています。温浸油の場合は、ボウルに植物油とハーブを入れ、湯せんして30分~1時間くらい経ったら完成です。いずれにしても難しい工程はありませんので誰でも簡単に作ることができます。
ハーブティーには基本的には水溶性の成分しか抽出されませんので、脂溶性成分を抽出したい場合は浸出油が適しています。脂溶性成分の代表的なものにビタミンA、D、E、Kやカロテノイド、精油成分などがあります。浸出油を作っておけば、そのままキズの手当やマッサージオイルなどに使っても良いし、軟膏やクリーム剤の基材として用いることもできます。ある程度汎用されているオイルは限られているので、まずは定番ものを作ってみると良いでしょう。
一般的に浸出油に良く用いられるハーブ3選
*カレンデュラ
浸出油と言えばなんといってもカレンデュラ。いわゆるマリーゴールドですが、ハーブとして用いられるものはその学名からカレンデュラと呼ばれています。どこのスクールに行っても、どの本を読んでも、浸出油の説明にはカレンデュラが一番に書いてあります。カロテノイドが豊富なのが特徴的で、フィトステロール、精油成分も含まれています。カロテノイドには皮膚の粘膜の修復作用があるとされ、外用で創傷や皮膚炎に用いられます。フラボノイドや苦味質も含まれていますが、こちらは水溶性ですのでこれらの成分を摂りたい場合はハーブティーとして飲用することをお勧めします。
*セントジョンズワート
セントジョンズワートは外用でも内服でも有用なハーブです。ヒペリシンという赤い色をした脂溶性の成分と精油成分が含まれているため、外用で創傷や筋肉痛などに用いられます。ヒペリシンには光毒性があるため、日中は使用しないようにしてください。夜に塗るのがおすすめですね。筋肉痛や腰痛のときにセントジョンズワートの浸出油を塗って寝たりするのですが、翌朝は結構緩和されてますよ。PCやりすぎて腱鞘炎気味のときも良いですね。私は市販のフレッシュハーブで作られたものを使っています。ハーブティーとして飲用する場合は別の成分が抽出され、フラボノイドやハイパーフォリン、タンニンが含まれています。特徴成分はハイパーフォリン。抗うつ作用が有名です。PMSで落ち込みがちな日などにラズベリーリーフとブレンドしても良いですね。ただし、セントジョンズワートは薬との飲み合わせに注意が必要なハーブですので、お薬を飲まれている方にはお勧めできません。お薬を代謝する酵素の働きを強めてしまい、お薬が効きにくくなります。
*ラベンダー
誰もがご存知ラベンダー。精油が有名で、ティーとしてはほとんど用いられません。なぜなら、おいしくないからです(笑)。というのはさておき、精油成分が豊富なので有名なラベンダーですが、売られているいわゆる「精油」のラベンダーって結構香りがきつくて、いい香りなのに強すぎて使いづらいと思うことが多々ありました。しかしながら、ハーブの温浸油を作ってみたところ、その心地よい自然な芳香に感動したんですね。これなら使いやすい!と感じました。精油のラベンダーがきつすぎると感じる方は、ハーブの温浸油を作ってみられることをおすすめします。ラベンダーの精油成分には鎮静、鎮痙、リラックス作用がありますので、就寝前のマッサージに使ってみるとゆっくり眠れそうですね。
ハーブの浸出油、簡単に作ることができますので、是非お試しあれ!水溶性と脂溶性の成分を知っておくと、より効果的にハーブを活用することができますし、楽しみも広がります。これからハーブを勉強しようと思われる方は、まずは水溶性と脂溶性の成分に注目してみられることをおすすめいたします。水溶性の成分も脂溶性の成分も両方取れれば良いのにって!?その方法もございます。そのことについては、次回以降説明していきたいと思います^^
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